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不倫の子を身ごもった作家の柳美里(江角マキコ)は、かつての恋人でもあった劇作家の東由多可(豊川悦司)を訪ねる。しかし、そのとき彼は既にがんに侵されていた…。
失われていく命と生まれてくる命のカウントダウンをつづった柳美里の自伝的小説を『はつ恋』など俊英若手監督・篠原哲雄が端正に描いたヒューマンドラマの傑作。エキセントリックかつドラマティックな内容にのめりこむことなく、むしろ冷徹に捉えることで、血のつながりをこえた人間同士のきずなと慈愛をかもし出していく演出手法が素晴らしい。主演ふたりの熱演も特筆もの。特に豊川は、病で身も心もやせ細りながら、最後の生をまっとうしようとするさまを繊細に演じきっており、彼のキャリアの中でもベストといえるほどのものだ。(的田也寸志)