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クラシック畑のサクソフォン奏者とジャズ・ギタリスト。もしも互いに歩み寄ることなしに共演したらどうなるだろう。サクソフォン奏者はひたすらドラマチックにメロディーを歌い上げ、ギタリストは勢いに任せて十八番のフレーズを弾きまくる。そんなことになったらそのプロジェクトは大失敗だ。
幸い須川展也とマーティン・テイラーには、コラボレーションのよりどころとすべき共通した音楽性があった。それはデリケートさ、こまやかさである。須川のサクソフォンは、ボーイ・ソプラノやカウンターテナーにも似て、おおげさに騒ぎたてないひそやかな節回しが特徴。跳躍する音程でのスムーズさ、にごりのないピアニシモなどでは確かな技巧が堪能できる。
一方、本来は豊かに持っているブルース・フィーリングを封印し、柔らかなサポートに徹したテイラーのギターはいぶし銀の渋さでうならせる。無理にジャズ的な展開を画策せず、アイルランドやスコットランドの愛らしいメロディーを多く取り上げたのも、2人の共演にふさわしかった。(松本泰樹)