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国内で最も普及しているP2Pサービスの1つであるWinMXも、その目的がどうあれ流通しているファイルはほとんどが違法な著作物だ。本書はそんなWinMXにハマっていった1人の実在する人物の体験記を元に書かれており、主人公が自分の欲するファイルを探し求めてファイルを検索し、仲間を募り、交渉し、駆け引きをしていく姿を赤裸々に描いている。
この世界に存在するルールや仲間内で生じるリスペクト、さらに独自のアングラ語の数々はなかなかに圧巻であり、この主人公がファイル交換用に光回線を導入し、さらにマシンを強化していく姿にはファイル収集にかける強烈な執念を感じる。そして自分が必要なファイルから交換に必要なファイル、取引に必要な稀少価値のあるファイルの収集へと変化していき、生活の中心がWinMXにシフトしていくさまも見所である。
最後の「だからWinMXは辞められない」という章がなかなか秀逸だ。ここで述べられるWinMXに対する主人公の思いには、P2Pの原点と著作権業界との折り合いの1つの方針が図らずも見出せるのもおもしろい。
本書はファイル交換ツールを知るためのアプローチとしてなかなかユニークであり、アングラの世界に触れたことがある人なら共感を覚えること間違いなしだ。アングラの世界を覗いてみたい方、また逆にファイル交換を目の敵にしている方にもこの世界を知るとっかかりとしておすすめである。(斎藤牧人)