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ビデオには「気力」「努力」と銘打たれているが、それらは実は王の好きな言葉なのである。前者は「ホームラン王貞治」の副題どおり、通算本塁打868本、オープン戦や日本シリーズを合わせると、その数1032本に上るというホームランの一本一本の歩みが記されている。とりわけ恩師荒川博のインタビューが印象深い。「あの子は素直なんだよ、それがなければ今の王はない」と荒川はまるで昨日のことのように語っている。
努力編では「人間王貞治」と題して、生い立ちから、2連覇を成し遂げたダイエー監督としてまで、野球人としての生きざまを、長女理恵との親子対談を間に挟みながら、豊富なインタビューと映像で迫った。愛娘の前でてらいなく饒舌(じょうぜつ)に自分の半生と野球に対する思いを語っている姿には、かつてのストイックな王は見られないが、どこか大人(たいじん)の風格さえうかがえる。
この人と同時代にいる、そのことの得難さをじっくりとかみしめたい。(文月 達)