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忘れられた音読の効用を説いたベストセラー『声に出して読みたい日本語』の著者らしく、伝統文化を見直す切り口が新鮮でおもしろい。和洋の文化の間で宙ぶらりんになった「不自然な体」を、自然体の「技化」で意識的にとりもどす。そのために著者が見直すのは、相撲の四股、歌舞伎の六方、能のすり足など、皆が見慣れているがもはや自分の身体感覚としては実感のない動作の数々。適切な写真と説明でこれらの実践法が説明・推奨される。
伝統的な動作から「自分の中心感覚を腰腹=臍下丹田(せいかたんでん)に置く」という共通点を引き出す手並みが鮮やかだ。その他呼吸法、ツボ、マッサージなど、「内なる中心感覚」を取り戻すためのメソッドが満載されている。説明が「頭でっかち」でなく、読者の実感を離れないよう「自然体」で書かれてあるので、本当に納得でき、よくわかる。
第1部で自己の中心感覚、第2部では他者との距離感覚(コミュニケーション=レスポンスする身体)の涵養(かんよう)法が説かれる。この2つのスキルで「自然体」が身につくしくみだ。
「リラックスしながらも覚醒しているような身心のあり方。身体の重心においても、心や精神の方向性においても、寄りかからないゆとりをもった構え」が「自然体」なのだという。そのための、頭で納得し、実践して実感できる具体的な技法が明解に書かれている点が画期的。他者論、コミュニケーション論、現代文化論へと展開したいところ、グッとこらえて、具体的な肉体の実感を中心に据えた著者の「腰腹の強さ」が表れた1冊である。(濱 籟太)