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巻末の索引を見ると、アルゴリズムの基本の1つである「二分探索」の上には「夏木陽介」…。どこまでが本気でどこまでがふざけているのかわからないが、著者の大阪人らしいサービス精神あふれる語り口につられて読み進んでいると、知らず知らずのあいだにアルゴリズムの基礎が身に付いてしまう。受け取った書類を片っ端から引き出しに突っ込んでしまう田中さんや、ひとりごとと呼びかけがシームレスな藤倉係長の話が、検索や関数の組み合わせの話にいつの間にか移っている。ちょっと強引なケースがあるのはご愛敬だが、結果として読者の頭にはアルゴリズムに関しての深い理解が残るしくみだ。言語はVisual Basicをベースに解説しているので、Visual Basicをある程度知っているに越したことはないが、知らなくてもアルゴリズムについては十分に理解できる。
さらに驚くべきは、各章末に用意された「特別付録」だ。「人力整列実験キット」、「人力整列計算量計数器」などとネーミングされたこれらの付録は、すべて組み立て式となっており、アルゴリズムを頭のなかだけでなく実際に体験することで、確実に自分のものにすることができるよう配慮されている。もともと月1回の連載にもかかわらず、毎月ヒネリのきいた付録を考え出していた著者の努力には頭が下がる。
GUIツールの進歩により、アルゴリズムを意識せずにコーディングを行うことも可能にはなったが、言語の移り変わりの速さに対応していくには、アルゴリズムの理解が一番の早道である。これからプログラミングを学ぼうという人はもちろん、現役のプログラマーにも、ぜひ一度目を通してもらいたい。必ずヒントや反省材料があるはずだ。(大脇太一)