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では、世界が本当に直面している変化や問題とは何なのか。本書はそれを「爆発的人口増加」と、米国で巻き起こったニュー・エコノミー論の概念をより拡大した「ニュー・ワールド・エコノミー」の2つの力から説明する。さらに、その2つが、今後20年以内に解決を迫られる20の問題を生むという。地球温暖化や水不足などの「地球の共有」の問題、貧困やテロ、デジタル・デバイドなどの「人間らしさの共有」の問題、バイオテクノロジーや金融、貿易などの「ルールの共有」の問題である。
21世紀の世界の懸案が、ここで見事に整理される。肝心の国連やG7、WTOなどの機関はというと、「階層性」や「国民国家の古臭い領土本能」、「政府と産業界と市民社会の間に引かれた人工的な境界」のために機能しないというから、危機の根深さが実感できるだろう。本書はそこで、解決策として「ネットワーク型統治」と「地球規模問題ネットワーク」を提唱する。これは地球規模の問題なのに各国の利害をぶつけ合う、いわば「共有地のジレンマ」にある世界への具体的な解決策として、興味深い提案といえよう。
著者は世界銀行の副総裁である。その立場から、こうした大胆で柔軟な構想が示されるのは驚きだ。日本の諸問題にも置き換えて読むことのできる1冊である。(棚上 勉)