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たとえば、若者に人気のショッピングセンター、フォーロム・デ・アールについては、「人が多すぎて好きじゃない」とあっさり切り捨て、その代わり、大好きなケーキ屋やカフェ、フリーマーケットなどについて語るときには、とってもおしゃべりに。本の構成も、美術館について紹介していたと思えば、ページをめくったとたん、トピックが突然エリック・ロメールやジェーン・バーキンに飛んでいる、といった具合だ。ガイドブックに第三者的な公平さを求める人から見れば、内容にずいぶんばらつきがある。しかし、それこそが本書の味わいでもあるのだ。
本書の中で、パリジャン、パリジェンヌ気質を「いつも不機嫌」「とにかくなんにでも文句をつける」「自分らしく生きる」と定義づけている著者自身も、気まぐれで、おしゃれで、マイペース。そんな彼女が、思いつくままに自分のとっておきの場所やものを紹介しているからこそ、生き生きとした、地図だけでは見えてこないパリの姿が見えてくるのである。観光用のガイドブックというよりは、パリの雰囲気や人々の生き方、暮らし方を紹介した本といえるだろう。パリの街なかで、地図を広げていかにも「観光客」風にふるまうのではなく、あくまでもパリジャン、パリジェンヌのように闊歩(かっぽ)したいと思う人におすすめしたい。(和久裕子)