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著者の取材態度は、一見していい加減。行く前から気になっていたトライアスロンとマラソン以外は、気の向くまま観戦したりしなかったり。開会式は途中で抜け出すし、天候が悪いといっては競技場を後にする。
まじめではない。しかし、怠惰ではない。サッカーを観戦するために、わざわざ片道1000キロを一昼夜かけてドライブする。オリンピック開催期間の地元の新聞から、せっせとゴシップを拾って紹介している。彼は、競技という側面からだけでなく、その周辺を丹念に歩き、輪郭を浮き彫りにすることで、オリンピックというものの全体像をあぶり出したかったのだ。
冒頭に有森裕子が登場する。その次に男子マラソン犬伏孝行の五輪前練習風景の描写が続く。なぜ、有森裕子なのか?彼女は、今回のシドニー五輪に出場しなかった。その彼女の、しかもアトランタ五輪でのマラソンレースを、村上はニュージャーナリズム風に描いて見せた。そのスタートからゴールまでの丸ごとを。さらに、最終章には、有森裕子のニューヨークシティ・マラソンの後のインタビュー。この構成もまた、村上のオリンピックにたいする懐疑的まなざしの表れなのだ。(文月 達)