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著者は16年間、ウォールストリートで証券マンとして活躍、その後、世界銀行傘下のMIGA(多数国間保証機関)の初代長官に就任した国際派経済人である。ペンシルバニア大留学時代からMIGA長官在任の4年も含めて滞米生活22年の著者は、人から「さぞかし英語には自信があるんでしょう」とうらやましがられるが、大蔵省からMIGA長官就任を要請されたとき、「英語に自信ない」といったんは固辞した、と本書「まえがき」に書いている。
タイトルはいささか挑発的だが、著者がいわんとしているのは、一国のリーダーたるものが国際的に通用する言語(英語)で、自分の意思を伝えられなければ、その国は「国際社会で孤立する」、すなわち「亡びる」ということである。
悲しいかな、「日本のリーダーは、英語が話せないゆえに、国際交流の舞台で自己主張もできず、外国のトップとの心のふれあいもできず、国民の声も代弁できない」のが現実である。完全な英語を話せ、と言っているのではない。中国を除くアジアの多くの国のトップが、発音の不正確さや文法的誤りを恐れず、自分なりの英語で自己表現しているように、「道具としての英語」を持て、と著者は言う。トップに限らない。日本のエリト知識人の多くが英語を話せない。
「英語を学べ、というと、日本の文化を捨ててアメリカの文化を真似るのか、と感情的に拒否反応を示す人もいる」「(しかし)英語を勉強するということは、日本語を忘れる、日本の文化をないがしろにするというのではなく、むしろ日本の文化とは何なのか、という問題にまじめに向き合うということである」。いかに日本の文化が優れていても、それを外国人に説明するには「インターナショナル・イングリッュ」という道具が必要なのである。
日本人の「英語コンプレックス」を克服するための本である。(伊藤延司)