| ヤフー経由でアマゾンを検索! |
|
Amazon.co.jp
導電性ポリマーの母体となるポリアセチレン薄膜の発見は当時、白川教授の下で研究をしていたピョン博士の予想外の失敗によってもたらされた。「失敗は失敗としても、同じ失敗はくりかえしたくない」という教授の研究に対する真摯な姿勢が失敗の原因をつきとめ、画期的な大発見につながったのである。
この本の魅力は、単なる成功談にとどまらず、技術的な面にまで踏み込んで書かれていることである。化学を勉強している人であれば、導電性ポリマーの合成法やその構造、ドーピング現象などの解説を読んで、従来の科学的常識を覆す独創的な発見をじかに知ることができるだろう。
後半部分の村上陽一郎教授、福山秀敏教授との対談では、教授がいかにして化学に興味を持ち、研究に没頭することになったか、いかにして同じくノーベル化学賞を受賞したマクダイアミッド教授やビーガー教授といった優秀な化学者と出会ったのかについて語られており、「人間・白川英樹」がどうやって形作られてきたかをうかがい知ることができる。
対談の最後では、かつてのノーベル化学賞受賞者、福井謙一博士同様、広く学ぶことの重要性を説いているが、この辺は、実際に物理学者などとの交流を持つ教授だけに説得力がある。研究者のみならず、若い学生や一般の人にとっても学ぶべきところの多い1冊である。(杉本勇人)